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Nintendo Entertainment System(ニンテンドー・エンターテインメント・システム)またはNESとは、北米およびブラジル、欧州、アジア、オーストラリアにおいて任天堂から発売された家庭用ゲーム機である。 日本で発売されたファミリーコンピュータ(Family Computer、ファミコン)をベースに、筐体の変更や各国への対応を施している。
概要NESおよびファミコンは当時もっとも成功したゲーム機であり、任天堂によれば全世界で約6000万台が販売された[1]。アタリショックで衰退したビデオゲーム業界を再び活性化し、ゲームデザインから商慣習に至るまでのあらゆる面で、以降の家庭用ゲーム機ビジネスの手本となった。当時としては斬新な横スクロールアクションゲームである『スーパーマリオブラザーズ』はこのゲーム機の最初にして最大のキラーソフトとなった。また、サードパーティーに対して初めて訴訟が提起されたゲーム機でもある。 北米では1985年に、ヨーロッパでは1986年に発売された。コンソールに“Nintendo”の文字が大きく表記されていたためか、現地では「ニンテンドー」の愛称で親しまれた。なお、後にファミコンの後継機として日本で発売された「スーパーファミコン」は、欧米でもNESの後継機として“Super Nintendo Entertainment System(SNES)”の名称で発売された。 歴史1980年代初頭の業務用ゲームでの成功を受けて任天堂は、テレビゲーム15、テレビゲーム6とは異なる、カートリッジを交換して様々なゲームをできる独自のゲーム機の生産を計画した。上村雅之らによって設計され1983年7月15日に14,800円で日本で発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン)は、1984年末までには日本で一番売れるゲーム機になった。この成功に勇気付けられて任天堂はすぐに北米市場への進出を考えた。 当初はアタリブランドから、“Nintendo Enhanced Video System”の名でファミコンを発売すべくアタリと交渉に入った。しかしその頃、コレコ社が自社パソコン向けに『ドンキーコング』移植版の発売を発表。コレコの発表をアタリは任天堂とコレコが接近している兆候と受け取り、交渉を打ち切った[2]。なお、コレコは自社の家庭用ゲーム機への『ドンキーコング』の移植については任天堂から正規ライセンスを取得していたが、パソコンへの移植については任天堂の許可を受けずに行なっていたため、このパソコン版『ドンキーコング』の発売は断念された。続いてキーボードとデータレコーダ、無線式ジョイスティック、BASIC言語を加えたファミコンをNintendo Advanced Video Systemの名で発売することを計画したが、これも立ち消えとなった。 最終的には1985年6月に任天堂はConsumer Electronics Showでファミコンのアメリカ版を発表した。外装と名称を一新、当初はニューヨーク市に5万台のみを投入。1985年10月18日には一部地域に限って出荷したが、大成功を受けて翌年2月には全米に出荷を広げた[3]。こうしてNESは日本でのファミコンと同様に人気を集め、ビデオゲーム産業を再活性化する立役者となった。 NESは、249ドルの豪華版Deluxe Setと199ドルの廉価版Action Setが発売された[4]。本体及びケーブル類、コントローラー2個、光線銃はどちらのセットにも共通で入っている。Deluxe Set には他にファミリーコンピュータ ロボット(海外名R.O.B., "Robotic Operating Buddy")と対応ソフト『ジャイロ』(海外名Gyromite)、光線銃用ソフト『ダックハント』が付属する。Action Set にはそれらは無く、代わりに『スーパーマリオブラザーズ』と『ダックハント』を1つにまとめたカートリッジが付く。 アメリカ版に続き他の国々でもNESが発売された。欧州および豪州では大きく2つの地域に分けて販売網が構築された。イギリス・イタリア・オーストラリア(“地域A”と呼ばれる)での販売はマテルが受け持ち、イタリア以外のヨーロッパ大陸諸国(“地域B”)での販売は他の様々な会社によって行なわれた。一方、カセットのほとんどは任天堂から直接販売された。韓国では現代電子産業(現・ハイニックス半導体)が輸入元となり(おそらく北米仕様の)NESを輸入し、「컴보이(コンボイ/COMBOY)」という名称に変更して販売した。これは現代電子産業が独自に行った輸入販売であり、任天堂との提携によるものではない。 1980年代後半において任天堂は日米の家庭用ゲーム機市場で圧倒的なシェアを握り、支配的存在だった。しかし他の国々ではやや事情が異なる。任天堂は1990年まで欧州支店を設けていない[5]。競合していたセガはこれに乗じてマスターシステムを多くの国でNES以上に売り上げている。ただし世界累計での販売台数はNESに遠く及ばない[6]。 1990年代に入ると、16ビット機のセガ・ジェネシスなど機能的に優位な後発機が登場し、任天堂自身もSuper Nintendo Entertainment System(SNES)を発売するなど、NESは徐々に市場の主役の座を譲っていった。任天堂はNESのサポートを続け、途切れない本体への需要に応じるため1990年代前半には初代NESのハードウェアの欠点を改善した新版 NES 2(日本におけるAVファミコンに相当)を発売した。1995年には、売り上げの減少と新作ゲームの欠如を受けて、ニンテンドウ・オブ・アメリカは公式にNESを生産中止にした。 生産中止後の数年でレンタルビデオ店やガレージセール、フリーマーケット周辺に確立したコレクター市場でゲーム愛好家はNESを再評価した。エミュレーションの発達と併せて1990年代後半はNESにとって第二の黄金時代ともいうべきものだった。2000年以降は中古市場も枯渇し始め、ROMファイルを見つけることももはや難しくなくなった。エミュレーションへの興味の高まりと並行してNESのハードウェア改造ブームも勃興した。マニアたちはNESを完全に別の筐体に移し変えたり、部品取りや単に面白半分で解剖したりした。コントローラは改造の格好の対象で、パソコンとパラレルポートやUSBを介して接続できるように改造された。乾電池と液晶画面を加えて携帯ゲーム機に改造する者もいた。 ファミコンとの違いNESは本質的にはファミコンと同じハードウェアだが、いくつか重要な違いがある。
コントローラNESの標準コントローラは、ファミコンのIコントローラと同様の A、B、スタート、セレクトの四つのボタンと十字キーが配された長方形型のものが採用された。ファミコンとは異なりIコン・IIコンの差は無く、同じ形状の物が2つ同梱。また、本体に直付けではなく、本体前面に2つある7ピンのコントローラーコネクタに接続して使用する。 後に発売されたNES2では日本のAV仕様ファミコンと同様、スーパーファミコンのコントローラのように「犬の骨」を思わせる形となった。 近年、このコントローラのデザインはNESのシンボルとして認識されるようになった。任天堂は限定版ゲームボーイアドバンスSPや販売促進用商品といった最近の欧米向けの商品に、NESコントローラのデザインを模したものを発売している。 なお、NES ザッパー(光線銃相当品)、パワーパッド、R.O.B.、パワーグローブといった周辺機器の接続にも、コントローラ用コネクタがそのまま用いられた。 設計上の欠点任天堂は、NES の北米市場進出の際にアタリショック以降のゲーム機全般に対する不評を回避すべくデザインの面から競合他機種との差別化を図った。そのひとつが、家電であるビデオデッキをイメージした本体前面に水平に挿入する ZIF 方式のカセットスロットである。だが、このカセットスロットは新品状態では特に問題はないが、カセット挿入時の力加減ではピンが折れ曲がったり、抜き差しの繰り返しによって比較的早くピンが摩耗した。これはコネクターに腐食しやすい安価な合金を使用したことが原因のひとつとされ、ゲームジニーなどの非ライセンス品の使用がこの問題を更に悪化させる要因となった。また、NES のコネクタはファミコンで採用されたエッジ・コネクタに比べてもちりやほこりに弱く、これも接触不良の原因となった。さらに、NES に搭載された 10NES と呼ばれる海賊版対策回路がこの問題に拍車をかけた。起動時にゲームソフトが正規品かどうかを確認する 10NES の動作タイミングは非常に厳格で、接触不良によるタイミングのズレから起動されずパワーランプが明滅を繰り返すという誤作動をしばしば引き起こした。これに対してユーザーは、コネクタに息を吹きかける、ゲーム機を叩く等の行為におよび、これらの行為がカセットやゲーム機本体の摩耗や破損につながった。 任天堂は、接触不良への対策として1989年に NES 用のクリーニングキットを発売。1993年に発売された NES2 では海賊版対策チップを搭載せず、カセットスロットも垂直挿入方式のエッジ・コネクタとした。また、ゲーム機の不具合に対応するためアメリカ中に任天堂の認可を受けた修理センターが作られた。 参照
外部リンク
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